マルキ便り 日々の想いをつらつらと・・・ マルキスタッフの日常

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古き良きものを次の世代に残す

こんにちは、代表の飯野です。

私自身古い物が大好きで、古民具や和箪笥など骨董を始め、職人さんがつくってものも好きで少しばかり収集しています。

「古き良きもの」って伝統文化、伝統工芸であったりいろいろあると思いますがここでは伝統建築・建物についてのお話をさせていただきます。

修復前の長屋門

先日のインスタ投稿

前職の宮大工の修業中に国重要文化財のお寺の修復工事に2年ほど携わった中で300年前の職人の技術を見ることができ建物を通してなおす技術(修復技術)を学びました。

2年ほど前、地元のお客様からご依頼いただいた長屋門の修復  高崎市の「歴史的景観建造物」に登録された建物で、高崎市では登録を受けた建物・建造物に対して補助金を出す制度があり利用して工事をさせていただきました。

長屋門の歴史は古く300年前に作られて200年ほど前に現在の位置に移築されたとのこと、戦時中は疎開されてきた2家族が住んでいたなど

お客様からお話を聞く限りでも代々思いと共に建物を受け継がれてきたんだなと、きちんとした形で次の世代に引き継ぎたいという思いから修復をされました。

建物は間口10間(18.8m)奥行2間半(4.6m)の建物で元は茅葺きだったそうですが、50年前の修復でトタン葺きに変えたそうです。50年前の修復で壁も直してありましたが、直し方により壁面に亀裂が入っていたり、土台や柱の腐りシロアリの食害も見受けられ、土台の入替、柱の入替と根継ぎなど7割ぐらいの壁を取除く作業から始まりました。

入替の材料に使ったのは土台・柱共に栗材を使いました。シロアリや湿気に強く腐りづらい材料を選択しました。

貫もしっかり通し楔でしっかり締めました

楔(クサビ)

長屋門の東西南は腰板は全て付け替えでパネルを作って取付ました。材料は杉 マルキのオリジナル塗料で古色仕上げを施し 元々の材料の色と馴染むように調整しました。

壁部分は本来であれば土壁を塗って漆喰壁で直したいところですが、予算の関係もあり乾式の漆喰壁で仕上げました。木摺り下地を施工し左官屋さんに漆喰で仕上げました。

門の扉も300年の歳月で金物も劣化し閉められる状態ではなかったので新たに金物を作っていただき、開閉出来るよう直しました。

建てた当初の姿に修復させていただきました

今回の工事はこの先大きな修繕を行わなくてもいいように構造から外部の意匠までの工事をさせていただきました。

お客様が代々受け継がれてきた建物を残すのもお客様の思いと共に職人の技術の継承にもなります。古き良きものが残っていくように大工技術も受け継がれていくような仕事をさせていただきありがとうございました。

「古き良きものを後世へ残す」

そんな思いでこれからも建築に向きあっていきます。